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山頂へ「7大陸ヨーロッパ編5」2018年

25時に食事をしたらアイゼンをつけて雪上車に乗り26時(朝2時)に出発した。

雪上車には20人ほどが窮屈に座っていた。傾斜がきつくなると掴まるところがなくて、滑るから隣人の腕を掴んでしまった。するとエンジンが鳴り響く中でその人はどうぞという身振りで腕を差し伸べてくれた。暗闇の中、空を見上げると天の川と星が瞬いている、その美しさはこれから登頂しに行くぞという緊張を少し和らげてくれた。ひんやりとした風を受けながら深呼吸をして雑念を払うように連れ行ってくれるところまで過ごしてしていた。
どこで降りるかはその時の斜面の状態による、なるべく上まで行って欲しい。この時は5000m付近まで行くことができた。
車から降りると歩き出す準備が始まる。どのチームも慌ただしい雰囲気になっていた。

一番早く動き出したのはイタリアチーム、歩きも速いペースでスタートしていった。私たちは急ぐことなくヘッドライトを点けて最終確認を行い、2:30頃に歩き出した。ウラジミールを先頭に私が次に続いた。雪は程よく締まっていて歩きやすい。緩やかに上るトラバースの道は足が3つ置けるかどうかの幅でアイゼンを引っかけないように歩いていた。90分程歩くと広めのコル(馬の背のような安定した山間のところ)に着いてひとまずの休憩をした。後ろの向こうからは他の小屋の人たちも続々と向かって来るのが見えた。トイレをしたいけれど隠れる場所はない。思い思いにタッションする人たちを羨みながら、先にいたイタリアチームが歩き出し、後ろの人が来る前の空きにトイレを済ませた。

ここからが正念場になる、再び歩き出してしばらくすると傾斜がきつくなり、フィックスロープが張られていた。ウラジミールの歩き方は早く動いては止まるスタイル、私には合わないので倉岡さんに先頭になってもらった。するととても動きやすくなっていいペースで進めるようになった。ゆっくりだけど呼吸が楽で動き続けられるのだ。気がつくといつも先頭を切っていたイタリアチームに追いつき、そのまま追い越して傾斜を登り切った。

広くてなだらかな場所で休憩してさらに30分ほど登った。私のザックは途中にデポして飲食物とカメラだけ持って登ることにした。身軽になってしばらくして傾斜を登りきると広くて平らな尾根の遠くに山頂が見えた。

ウラジミールを気にせず倉岡さんと長い道のりをゆっくり歩く。辿り着いた山頂には誰もいない、後ろからはウラジミール以外誰も見えない。風は強めだったけれど貸切の山頂で地球のヘリを見たり、30分ほど満喫して次のチームが来る頃に下山を開始した。

途中でザックを回収して降りていくと急な傾斜のところで同室のカザフスタンチームが登って来た。がんばって!とエールを送り私たちはコルまで降りた。

なんだか調子が良い、まだ疲れていない・・・。これは私にとって非常に珍しい。だから東峰へも行ってみたいと提案してみた。倉岡さんは行くのはいいけれどヘロヘロになりますよと言う。そうだろうなぁと思う。ではあの見えている突き当たりまで様子を見に行こう、トレースがわからなくなったらそこで戻ることを条件に歩き出した。再びウラジミールが先頭になるが、ここでもペースが合わない、このままだと行かれるところへも行かれない!先頭を倉岡さんに代わってもらうと流れるように歩け良い感じの動きになった。ルートもわかり東側の方が岩が多くて楽しい。先ほど登った山頂方面には多くの人が登っていく列が見える。

このままゆっくり進んでいれば山頂へいかれるだろうと歩いていたら、もう一つの山頂へも行けた。

澄み渡る山々の景色、寒さに耐えらるまで留まって小屋に向けて下山した。

最後はスノーモービルで降りる、だから同日に2峰を踏破できた。小屋には皆が登頂して戻っていた。私たちは東峰へも行って来たというと「素晴らしい!君は本当に強い人だ。」と言われ、とても嬉しい気持ちになった。その日はワインで乾杯。

でも他の国の人たちはあまりお酒は飲まない。特にロシアの人はお酒を勧めると何か悪いことを誘っているような雰囲気があり意外だった。

1018年6月22日 ヨーロッパ大陸最高峰エルブルース西峰・東峰 登頂

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