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山飯

普段の食事では、パンもご飯もほとんど食べない。けれども、山歩きやクライミングに出かけるときには、サンドイッチやおにぎりを持っていくことが多い。このあいだ、通りすがりにオープンしたばかりのおにぎり屋さんを見つけた。ちょうど福島へ行く予定があったので、前日にお昼ごはん用のおにぎりを二つ購入した。

昼休憩に楽しみにしていたおにぎりをバックパックから取り出して頬張る。あまり塩気は感じないけれど、なんだか糸を引いている。納豆おにぎりではなく、たしか鶏そぼろを買ったはずなのだが……。変な匂いも味もない。首をかしげつつも、そのまま食べた。もう一つの梅おかかの方は、糸は引いていなかった。「もしかして、少し傷んでいたのだろうか?」と気にしたところで、もう全て食べてしまった後だった。お腹が下らないか? 吐き気が起こるのでは? と気になって仕方がない。カキなどは、48時間後に症状が出ることもある。頭の中では過去の食あたりの記憶がよぎり、「もう、なるようにしかならない」と腹をくくった。それでも、どこかソワソワする気持ちは止まらない。その夜のお祝いの席では、たらふくご馳走を食べ、「早く排出してしまえばいいのかも」と、次の策に考えを巡らせていた。

翌朝も体調に変化はなかった。少し早めに日立駅へ向かい、海に近い駅舎のデザインに驚きつつ、電車の時間まで水平線が見えるカフェで過ごす。ガラス越しに広がる曇り空の海は、優しい灰青色で、気持ちがすうっと落ち着いた。サンドイッチとコーヒーで“二回目の朝食”をいただき、特急列車に乗った。

あとで糸を引いたおにぎりについて調べたところ、やはり菌が繁殖していたのだと知った。これからの季節、食品の傷みにはますます注意が必要だ。山で食あたりすると、より厄介なことになる。今回の出来事は、それをしっかり留意するための良い経験となった。
ネバつきといえば、最近は納豆をよく混ぜてから、タレとメープルシロップを加え、食後のデザートとして楽しんでいる。本物のみたらし団子が手に入らない今は、“納豆メープル”を味わうことにしている。

お知らせ)5月30日 J-WAVE 81.3FM 7:15〜7:25
TAKENAKA FEATURE FOCUSに出演いたします。

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