焼岳へ
今季初の雪山歩きは焼岳へ。
飛騨山脈の一部・焼岳は活火山で一般的に雪のある時期は南峰(2455m)へそれ以外の時期は北峰(2444m)へ登る。
今回は前日に地元の温泉旅館にチェックイン。久々の雪山登山、部屋の窓の外を眺め今までの山歩きをぼんやり思い返していた。
宿の温泉源は湯量が潤沢、湯の花も楽しめる掛け流しのお風呂がいい。ただ硫黄泉系は私のアトピー肌に合わないことが多い。短時間だけ湯に漬かって、シャワーで流したら痒みは起こらなかった。もともと大浴場は苦手、なのに乳がん手術後にはさらに苦手になった。今はコロナの影響で人が少ないことと人数制限があって温泉にも気兼ねなく入ることができる。宿の地元料理の夕食を楽しんだ後は翌日の登山の打ち合わせ。暖房をつけて窓を開け換気しながら用意してくれたワイングラスを傾けた。出発時間、ルート確認、装備や服装などを語り早めに休んだ。
朝食をしっかりお腹にためてから車で予約した駐車場へ。登山準備をして中の湯温泉脇の登山口を9時前に歩き出した。歩き始めから急登だった。しかもトレースがいろんな方向に沢山ついている。道が分かりにくいだけではなく歩きづらいからうまく傾斜をころせるところを選びながら進んだ。樹林帯を90分ほど歩くと視界が開け広場へ出た。澄み渡る青空の向こうには南峰と北峰が現れた。あたりは硫黄臭が漂い、前方には数名の人が見えた。
しっかり休んだのち山頂に向けて歩き始めた。傾斜は徐々上がっていく山頂が近づくにつれてさらに勾配がキツくなって来た。それでも歩みは軽快で呼吸が乱れることなく11時半ごろには山頂についた。
360度見渡すと景色がどこまでも広がっている。三角点は雪で埋まっていたのでGPSでおよその場所を探し記念写真。
遠くを眺めうっとりとしていると岐阜県側からスキーヤーが続々と上がって来た。風が少し強い長居はせず降り始めることにした。山頂にいたのは20分ほどだけなのに雪の緩みが起こっていておりにくい。それでも歩き慣れたメンバーだからかチェーンアイゼンでなんとかやり過ごす。広場まで降りたらリーダーが風のない平らな場所を見つけスコップで雪を掘り出した。雪のベンチにマットを敷きお湯を沸かしてコーヒーを入れてくれた。こだわりパンにナチュラルチーズとハムを乗せてのお昼ご飯。メレンゲのお菓子まで用意してくれていた。
雪山ではなかなか出来ない贅沢な時間。とても嬉しくてそのまま残りたい気持ちにもなった。風が冷たく感じる前に荷物をまとめ再び歩き出すと日の当たる雪面がぐずぐずに緩んでいた。緩み雪に何度も足を取られながら、時に踏み抜いたりして登山口へ帰って来た。素敵なサプライズがあって忘れない山行になった。そして目指してはいないけれどまた一つ百名山を登りました。