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山頂カフェ

夏山で一番混雑しているところといえば富士山だと思う。そして歩く練習や標高に体を慣らすのに一番良いところだと思う。混雑を避け5合目まで自分の車で入れるようになってから行こうと計画を立てていた。今夏は天気が不安定でぎりぎりになるまで行けるかわからない。願うことしかできなくて直前に好転した天気予報を信じ佐藤小屋へ向かった。
富士スバルラインの終点に駐車場がある。しかし登山者はそのかなり手前に停めなくてはならなかった。下山した人達とすれ違うと皆魂が抜けたように歩いていた。それを見てなるべく近いところに停めたけれど小屋までは倍以上の時間がかかった。多くの登山者を見かけ小屋が混んでいるのかと覚悟したがこの日は私一人の貸切。佐藤小屋の懐かしい雰囲気は数年前と変わっていなくコロナ禍で来れなかった数年間がなかったかのようだ。

佐藤さんファミリーのおもてなしを喜び、明日の終発は朝4時頃に決めた。
朝方の気温は8度、朝のお弁当をいただき先輩ガイドと待ち合わせた。ヘッドライトを頼りに日の出前の暗闇を歩き始めた。先輩のペースが早い。早足だと2000mの標高でも息が上がる。昨日から立てられたバリケードの脇を抜けて山頂を目指す。7合目あたりで空が明るくなりご来光を眺めながら一呼吸入れた。

ここから先は私が先に歩くことに。
高い山はペースが大事、呼吸に集中してなるべく一定の速度で動き続けるのが私流。

最低限の動きで一歩一歩確実に足を置いて、動けたとしても速度を上げたりしない。

かつて奉仕した8合5尺の天拝宮で手を合わせ、後片付けする小屋主に挨拶をした。
登るほど体がどんどん楽に感じて引き込まれるように山頂に辿り着いた。

とても良い天気だ。
少し遅れて登ってきた先輩と休憩タイム。ザックからは軽量化など無縁な品が続々と出てきた。
富士山の山頂で優雅なカフェ時間を楽しめるなんて最高。

今回の私の目的は歩いて標高に慣らすこと、きっと先輩は荷物を運ぶ練習をしていたのだろう。たっぷり休んでから剣ヶ峰に上りお鉢を一周して下山。

 

下山を開始すると景色はほとんど変わらない。火山灰の道をザクザクと下るのは最初は楽しいが、折り返しているうちに飽きてしまう。ガスが上がってくると景色すらなくなりさらに気合が必要になった。

2時間ちょっとで5合目まで降りたけれど、もっと長く感じた。
さらなる試練は駐車場までの道のりで非常に遠く感じた。
それでも車に着くととても朗らかな気持ちになった。
とても良い日に登った日本一の富士山、世界一の山にも登れますように。

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