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肺炎か?

リンパ浮腫が落ち着き、大堂海岸へクライミングへ出かけた。海沿いの景勝地でルートも長くまさにクライミング天国だ。しかし手や腕に傷をつくりやすいクラックの岩場・・・。心配だけど手には何倍にも多めのテーピングをして保護すれば大丈夫だろうと高知入りした。

でも残念なことに体調が今一つ。クライミングどころではなくて部屋で休んでいたが、咳が止まらない。ここで放射線医からの注意を思い出した。治療して一年くらいは放射線治療の副作用で稀に間質性肺炎になることがある。もし咳が止まらなかったら風邪だと思わずすぐに病院へ行くようにと言われていた。

ガンにせよ、リンパ浮腫にせよ、今まで10%の確率にあたって来た。
だから、ここでまたこの10%に当たったのかもしれないと思った。ちょっとした不調が大事に至る可能性があるから放っておけばいいんだとはならなかった。

宿泊地は大月町、高知県の南西部で空港からは車で4時間の自然の豊かな場所。ここから一番近い検査設備が整った病院は県立八幡県民病院。

月曜日を待ちバスを乗り継ぎ片道90分、車窓から見える自然豊かな景色とは裏腹にバスの中で少し後ろ向きな気持ちになっていた。

 

 

病院はとても雰囲気が良くて綺麗だった、でも診察を待つ中、急にそわそわしていた。肺の検査だから、きっと聴診器を当てられる、どうしよう山の下着はちょっとダイナミックな素材。忍者ぽい?黒のメッシュ。だから聞かれていないのにクライミングで高知へやってきたと山の格好アピール、そして本題のがんの治療中で肺炎になる可能性が高いことを説明した。レントゲンを撮ってもらい確認をしてもらうと肺炎ではなかった。

 

 

よかった、本当に良かった、安心してちょっと涙が出た。嬉しくて、アイスクリームを買った。

明日からは岩場へも行けると喜んだ。しかし、次の日は雨だった。仕方なく愛媛のインドアジムへ行った。見かけは元気そうとよく言われる、もちろん体力は人並み以上にあると思う、でも見えない体の内でいろんなことが起こってしまうのも事実なのだ。ないかもしれない?あるかもしれない?この半年自分の中でそんなふうに様々な不安を抱いてきた。ちょっとでも体調がおかしいなら、その問題を早く知りそれをどうするかを考えよう。そのためにはまず検査。結果によって引き戻されることがあったとしても、前を見ていこうと自分に言い聞かせる。

遠路はるばる足摺岬までやって来て、検査と雨で一度も岩に触らず高知を後にした。

 

 

それでも起こっていることのすべては年末に南極へ行くための通過点なんだと受け止めた。

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