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日本の夏

少し前に、日本で一時はもっとも気温が高かったのは、なんと北海道だった。

本州の約3分の1の広さを持つこの北の大地で、40度超えが予想されていた地域もあったが、そこは私の活動エリアから200キロほど離れている。北海道の人々は暑さへの耐性があまりなく、冬の寒さに備えた機密性の高い住宅にはエアコンの普及率も約6割と聞く。我が家も例外ではなく、全室に冷房があるわけではない。近ごろは、熱中症アラートが発令される日もあり、外出はできるだけ短時間で、炎天下の時間帯は避けるようにとの注意が呼び掛けられている。そんな中、私はゴルフに出かける予定を立てていた。以前、水戸で暑さにやられた苦い経験があったため、今回はしっかり対策を練り、無理はせず、途中でやめる選択肢も視野に入れて、覚悟を持ってゴルフ場へと向かった。

ゴルフカートで移動していると、走行中の風が思いのほか心地よく、日傘の出番はなかった。「一打ごとに一口水分補給」を心がけ、プレーに集中した。ナイスショットが出れば球はよく飛ぶし、ミスショットではビューンと水平飛行することもある。上手く当たりすぎる時には思いがけない飛距離が出てしまいクラブ選択で迷う場面もあった。前半の9ホールを終え、体調を確認しながら後半のコースへ。アプローチもパターも以前よりずっと上達していて、今回は池ポチャもボールをなくすこともなかった。

ただ一つ、忘れられない出来事がある。ドライバーで放ったボールが林の中へ一直線。木に当たる音を聞いたのでその方角へ向かい、必死に探していた。見つからないまま制限時間の3分が過ぎ、諦めかけてふとフェアウェイに目をやると、探していたボールが、「ここにずーっといましたけれど」とばかりに転がっていた。なんというミラクルだったのだろう。

ゴルフ歴はまだ半年。ミスショットは多いけれど、それでも十分楽しい。広大な土地を整備して行うこのスポーツは、他に類を見ない。

気象庁のデータを持ち出すまでもなく、日本の夏は年々確実に暑くなっている。加えて、線状降水帯やゲリラ豪雨など、極端な気象現象も増えてきた。

関東や関西の夏と比べれば、北海道の夏はまだ快適なほうかもしれない。木陰に吹く風は涼しく、湿気は少ない。そして何より、北の夏は短くて尊さを感じる。危険な暑さが続く日本の夏。体に無理がないように上手に付き合いながら乗り切っていきたい。

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