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夏祭り

隣町・東川町で開かれる「どんとこい祭」に行ってきた。お祭りに足を運ぶのは、おそらく子どもの頃以来だろう。というのも、人混みや人の歩くペースに合わせるのが苦手で、これまで避けてきたからだ。それなのに今回は「どうしても行きたい!」と思った。理由はただ一つ、旭川のドラムの師匠がバンドで出演するからだ。祭り慣れしていない私は、念のため役場の福祉課にも電話をした。本当は「私、祭りに行っても大丈夫でしょうか?」と聞きたかったのだが、そんな判断はさすがに課の人にはできない。そこで、当然の如く、会場や駐車場、当日のスケジュールだけを確認するにとどめた。

東川町には何かとお世話になっているが、会場の羽衣公園へは行ったことがない。イベント開始の1時間前、ドキドキしながらハンドルを握り、まずは道の駅へ。町民だけでなく、近隣や遠方からも多くの人が楽しみに訪れるという。

車をなんとか停め、地図アプリを頼りに公園へ向かう。心の片隅では、「帰りにこの駐車場へちゃんと戻れるだろうか…」という小さな不安もあった。屋外の写真展示を過ぎると人が一気に増え、屋台エリアはすでに人だかり。芝生エリアではシートを広げ、お弁当や飲み物を囲む家族の姿があちこちに。私にとっては見慣れない“夏祭りの景色”だったが、とても楽しそうで心がほころんだ。

ライブ開始8分前、無事ステージ前の2列目に着席。師匠の姿がよく見える位置を確保でき、ひと安心。会場は少し前の雨で湿った空気と人の熱気で満ちていた。ステージに現れた司会者はなんと以前に私の講演会で司会をしてくれたアナウンサーさん。盛り上げようと手拍子を促してくれるが、夜は涼しいと油断して長袖で来てしまった私は、途中で暑さに耐えられなくなる予感がして、なるべく動かず、ひたすら師匠のドラムさばきだけに耳を傾けた。

途中でバックヤードへ回り、アナウンサーさんを呼んでもらい再会していると、裏方として動く町長さんにもお会いできた。実はこのドラムの師匠、町長さんの紹介で知り合うことになったのだ。その町は“写真の町”としても有名で、父がかつて商業カメラマンをしていたことを思い出す。祭りとは縁遠い私だが、この日もまた、不思議なご縁と偶然の引力に導かれた気がした。

祭初日の最大のイベントは花火の打ち上げだったが、大混雑を避けるため一足早く会場を後にした。花火を楽しみに向かう人波に逆らいながら歩くうちに、やはり不安がよみがえる。「あれ…車を停めたところは、どっちだったっけ?」記憶をたどりながら、暗くなった道をキョロキョロしながら歩く。車を発見できたときにはこの上ない安堵感に見舞われ、一呼吸おいてから街灯のない静かな田んぼ道を運転して帰宅すると、空に響く花火の音が聞こえてきた。祭って、自らの意思で先に帰ると楽しい時間から追い出されるような、寂しい気持ちにはならないのかもしれない。

来週は入院して手術が待っているので、ブログ更新は20日はお休み、27日に再開予定。

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