本富岳2020

屋久島へ毎年足を運ぶのは私の登山の原点である本富岳（モッチョム岳）に登りたいから。
雨降りが当たり前の島だけど今年は天気に恵まれて山の状態が良かった。今日は少し早めのスタートで看板脇から森へ踏み入る。木々の合間を歩きながらすぐに傾斜が始まる。しばらくは苔に覆われた樹林帯の中で見えない千尋滝の音を聞きながらの足運び。

倒木や切り株、根っこををまたぎながらしっとりとした空気の中で全ての緑色を見る。ピンクのテープがなければ道がわからなくなるくらいに緑で覆われている。

滝の音から沢の音に変わる頃に傾斜が更に強くなりはじまる。
息を弾ませて万代杉のことろに来たらゆっくり休憩を取った。根本から見上げる杉の姿がとても雄大で、その枝はまるで青空に手を広げてゆっくりと深呼吸してるかのように見えた。

そこから歩き出し沢を渡り、登山道から少し外れた奥にはモッチョム太郎が佇んでいる。見上げていると姿は見えないがどこからか人の声も聞こえてきた。

ここから先は自然のアスレチックのように枝や根っこを掴みながら登っていく。前の人たちが道を譲ってくれて軽快に気分も晴れやかに歩いていた。

尾根に出ると町が見降ろせて町の音の生活音が聞こえてくる。景色を眺めていると一人の男性が私に気が付かず降りてきた。

反対側の大岩を見つめて「キレイだなぁ」と独り言。まだこちらに気が付いていないようだからこんにちはと言うとお化けでも見たかのようにおぅ！とうめき声。居ますよってことで声をかけたのに驚かせる事になってしまった。展望場所から先は上り下りしながら尾根伝いに山頂を目指す。最後の大きな岩を登ると今日は素敵な景色が待っていた。

祠に挨拶をしてからお昼にした。スズメバチ を呼ばないように今日は卵焼きと梅干しのおにぎり。スープや唐揚げ、サバの塩焼きなどは今の時期は我慢我慢。

上にいると飛行機の音や途中でお昼の鐘も聞こえる。だんだん森へ戻っていくと鹿の鳴き声、沢の音、そして滝の音が聞こえると観光客の声も合わさり登山口に戻る。
やっぱりこの山が楽しくて大好き。また来年も来られますように。