標高のちがい
いつもコーヒーを届けてくださる猿田彦コーヒーから、今回は豆の種類だけでなく、ナチュラルやウォッシュといった加工方法の違う豆まで贈っていただいた。
ラベルをじっくり見てみると、育った木の標高が実にさまざまであることに気がついた。
私は浅煎りや、爽やかな香りと酸味、カカオや木々の香り、そしてフルーティーな風味が大好きなのだが、今回いただいた豆はまさにその好みに合致していた。

一袋に入っている量からしても、とても貴重な豆であることが想像できる。同時に飲み比べをしてみたい気もするが、あまりにももったいなくて、一気に開封する勇気が出ない。

標高だけではなく産地も製法も異なるので単純に比較はできないけれど、どれを淹れても心がふわっと満たされていく。標高の違いといえば、3回目の南米最高峰に挑戦した際、事前順応を兼ねてチリを巡りながら訪れたワイナリーを思い出す。

同じ品種の葡萄を、標高だけ変えて育てたワインの飲み比べは、今でも忘れられない体験のひとつだ。
旅をともにした現地ガイドさんが、ワイナリー併設レストランの庭から突然サボテンをもぎ取り、ナイフで皮を剥きながら「これ、美味しいから食べてごらん」と差し出してきた場面も思い出深い。

“サボテンって食べていいの?、勝手に取って良いの?”と戸惑いながらかじった一口は、驚くほど甘酸っぱく、柔らかく、ジューシーで、思わず笑ってしまった。
最近は、コーヒーはカフェインが少ないものを、ワインはアルコールを抜いたものを楽しむようになった。以前は“ディカフェはコーヒーではない”と頑なに思っていたが、今のディカフェは驚くほど美味しい。同じくノンアルコールワインも、かつては“ぶどうジュース的なもの”が多かったが、最近はワインからアルコールを抜く製法が増え、味わい豊かな“脱アルコールワイン”がたくさん登場している。
ということで、夕方からはディカフェを、夕食にはノンアルコールワインをいただくことが、私の日々の小さな楽しみになっている。

〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎
「がんとエヴェレスト」発売中
https://books.sekaibunka.com/book/b10132117.html
〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎