メンドーサからベースキャンプへ「7大陸南米編3」2018年

サルタからメンドーサへ向かう時、空港の手荷物検査で乾電池を取りあげられそうになった。リチウム電池は手荷物へと言われているがザックに入れていたら持ち込めないという。そんなに必要ならまだ時間があるからもう一度カウンターで預け直して来いと言われ急いで手続きをしに戻った。リチウム乾電池(使い捨て)は寒い山ではヘッドライトや様々なギアに必携で現地で手に入らないことも多い。だから空港で取り上げられたら大変!大容量の充電バッテリー(容量制限あり)は持ち込みして、それ以外の乾電池状のものは預けなくてはいけないようだ。山関係の移動ではナイフやハサミもありそれらをうっかり預け忘れたりと空港セキュリティー検査では面倒が伴う。
ワイン順応、いや高所順応を終えてメンドーサへやってくると都会を感じる。ホテルはとても綺麗で水圧十分なシャワーを浴びて明日からの荷物の仕分けをする。翌日2018年2月17日、車でまずはペニテンテスの宿Aylin Hotelへチェックイン、ここも3回目で勝手がわかっている。今回は人が少なくて静か、私はこの方が落ち着く。空いているにも関わらず部屋が3階で荷物を階段であげるのは大変だ、どうしてなの?と心で叫んだ。そしてここからは禁酒をして山へ入ったら登頂するまでは飲まないという自分なりの願掛けの一つだ。北アルゼンチンの旅で飲み溜めもしてあるし、標高が上がるとワインの味はわからなくなるから戻るまでの楽しみにとっておくのは苦痛ではない。翌朝7時前にホテルを出て、登山許可を申請してからオルコネス登山口へ向かった。この登山口も記憶にしっかりと残っている。今までと違うのは歩きではなくヘリでベースキャンプ入りすること、キャンプもプラザ デ ムーラスではなくてプラザ アルゼンチンに変わる。こちらのベースキャンプは360度コースを歩くアコンカグアを余すことなく楽しみたい人達の縦走ルートに使われる。オルコネスルートより日にちが掛かるが同じ所を通らず景色の変化に富んでいるのだと思う。私は過去に2回の失敗がありルートを選ぶよりも、いかに登るかが最優先だ。その結果、事前に順応して、ベースへはヘリで入り体力をセーブしながら、アッタク日だけ長く歩く計画になった。さらに登頂するための秘策もあり、それは後でお話ししたい。
アコンカグアでのヘリコプターといえば過去に救助してもらうために2回乗った、今回はそれを登るために使う。ベースキャンプまでの飛行時間は10分と掛からない、歩く場合は順応をしながらになるから数日必要になる。ベースキャンプに着くとここにも人が少なく、各エージェントの大型のダイニングテントは骨組みが残されその撤収作業に人が動いていた。
今回は想像を超えるプランを提案してくれたカリーコブラのサービス、今まで何だろうあの大きなテントダイニングは?と思っていたエージェントである。テントの中で立てる、歩き回れるなんてことは日本では体験したことがない。標高4200mの心も体にも余裕のない世界でこの設備は有難すぎていた。そして、倉岡さんの流儀でもある、寝るときは可能な限り個人テントとかなり整った環境でベースキャンプ生活が始まった。