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睡眠力

今も続く癌治療の副作用で一番辛いのはこの数年間眠れないでいること。それが最近少し改善された。今までは一晩に5〜7回完全に覚醒して大汗をかいていたのに、今は目覚める回数が2回ほど減った。これは本当にとても嬉しい。夏は室温を21度にして扇風機をかけながら厚い布団を被り、熱くなったら剥いで調整する冷やし技も年季が入ってきた。この覚醒とお冷やしは高所生活ではむしろ役に立つから、エヴェレストに昇るまでは完全に治ってほしくないと思うこともある 。しかしそれ以外の不調も盛りたくさんだ。手術を受けた右腕はリンパ浮腫を起こしたこともあり、採血や鍼は今でも禁忌で傷などはもってのほか、蚊に刺されてもいけないと言われている。だからたまに引っ掻かれたり擦り傷ができると”お願い、腫れないで!”と強く願う。

睡眠問題は数年前からだけど、薬が変わって最近は関節の痛みが加わり、これが耐え難い。少し前に受診したときにつらさを訴えてもあと6ヶ月頑張ってと言われている。睡眠時や安静時に起こる強張りは歩きにくくなり、ものを摘めなかったりと危険なこともある。指立て伏せをするならば激痛で耐えられないし、普通の腕立て伏せも大胸筋が引きつって回数が重ねられない。言い出したら色々ときりがないが、関節痛は自分の中での新しい苦痛事になっている。あと数ヶ月耐えられるか自信はなく、もうやめようと思った。ただその前に同じ成分の違う薬に変えて、それぞれを1ヶ月ずつ試し、それでもダメならそこまでにする。“あとちょっと”’と続ける気が起こればそれはそれでいいと考え始めた。

そんなふうに考えていら、3回目の偶然で乳癌の先輩にクライミングジムで10ヶ月ぶりに再会。今まで人に話せなかった大変さをたくさん聞いてもらい、目頭が熱くなってしまった。先輩はそれでも薬を続けて欲しいという。この数年転移や再発がなかったことは治療の効果が出ている結果だと言う。彼女にはなぜか私が治療を止めようと思ったときに偶然的に会う。

この偶然は何かの良い導きのように思え、もう少し頑張ろうと気が変わった。睡眠がほんの少し良くなったから回復する力が増えて、このまま耐えていれば他のことも今より上向くことがあるのかもしれないと思う。今できる最大のことに臨み続けたら、きっと前に進んでいけるのだと信じている。ただ痩せ我慢はやめて正しく自分と向き合っていきたい。

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