スズメ蜂とヒグマ

天気と時間がやっと合い、楽しみにしていた知床の羅臼岳へ行ってきた。岩尾別温泉登山口には十分な台数の駐車場がなくて、10台以上は路肩に停めることになる。私は登山口から100mほど下に停めたけどそれでも近い方だった。
登山届けを記入して歩き始めようとしたら数名の人が慌てて降りてきた。「スズメ蜂がいて何人が刺された」「今日は登るのを諦めた」という。その場所にはペットボトルがあるから注意してと教えてくれた。その騒ぎに木下小屋のご主人が姿を見せた。「気をつけて行って」というのはどうやって気をつけたら良いのですかと?聞き返した。しばらくの沈黙があり、注意しながらってことだなと教えてくれた。そういえば他にも引き返して来た人たちもいた。頭の中で蜂の対処法を巡らせる。黒い物に攻撃、縄張りに侵入しない、手で払ったりしないで静かに立ち去る。カチカチ言ったら威嚇状態。などなど、、、、。何人かで一緒に歩き出すとになり、前のグループの人たちが怖いから先に行って欲しいという。なぜか私が先頭になり7人を引き連れて進むことになった。
30分位歩くと大きな羽ばたき音が聞こえた。さらに進むと確かに飛んでいる。黄色が多いタイプのスズメ蜂でで2センチ位の大きさだ。道脇に麦茶のボトルも転がっていて、ここがさっき話してくれた場所、、、、止まらず静かに歩き去った。
少し登った見晴らしのよいところで景色を見ていたら、また羽ばたき音が聞こえ他ので直ぐにその場を去った。更にしばらく登ったところで私を盾にしていた方たちは先に追い越して行った。この山ではヒグマのことも注意しないとならない。遭遇率はかなり高くほぼ全員が鈴かベルを付けている。音の大きい物や高い音など様々な鳴り物が合唱のように鳴り響いている。出没表によると水曜日からパタリと目撃されていないからもう川に降りたのかも知れない。
森林限界を超えるまでの登山道には木の枝が張り出したところがたくさんある。足下には石や岩がが転がっていたりするから下を見て歩いていたら、何回か枝にごっちんと頭をぶつけた。
程々の斜度の登山道を黙々と歩き、テント場へ上がる手前(大沢)からは傾斜がきつくなり羅臼平に上がって一息ついた。
そこから1時間、ここからは続く岩を登る道で、降ってくる人たちと道を譲りながら、私を盾にして一緒に歩いていた人たちを追い越して山頂に出た。
風弱く、ひんやりとして気持ちが良い。岩の上でオホーツク海と北方領土を見渡しながら筋子にぎりを頬張った。
下り道も頭をごっちんしながら、帰り道ではもうスズメバチには出会わなかった。往復約8時間、久しぶりの山歩きで程よい緊張を楽しみました。知床では熊に会えると聞いていたけど2回とも会えなかった。