ベースキャンプへ下りる「エヴェレスト ~7大陸アジア編19」2019年

5月5日、朝ごはんを食べて荷物をまとめた。力のいる作業や動作は息が苦しくなり倉岡隊長にパッキングを手伝ってもらった。準備が整いA.B.C.を出発したのは9時半過ぎ。
足元は歩きやすいとは言えず、ガラガラ、ザラザラで斜面は所々ツルンツルンに凍っていて気を抜くとずるっと滑る。上がってくる時は体を慣らすために中間キャンプで一泊したけど、下る時は1日でにBCまで降りる。中間キャンプに着いたの14時過ぎ、ここ迄は比較的楽に歩いて来れた。
お昼休憩をしてから再びBCへ向けて気持ちを引き締め直す。広大な景色の中にいるといつもながら歩いても距離が縮まった感じがしない。あと半分、動いていればいずれ着くと何も考えず、ただただ足を動かしていた。気晴らしにスマホから音楽を鳴らしてみたら少し気持ちが上向き、体もちょっと楽に感じた。
標高が下がれば楽になるだろうと思っていたが、残りの道のりは歩けば歩くほど疲労がたまっていくようだった。体は重たく感じ、歩いても歩いても辿りつけない感覚が頭の中に張り付いていた。
太陽が山陰に落ちる時間になった。気温が一気に下がり、辺りも次第に暗くなってきた。
もう直ぐ着くとわかっていても、頑張ろうと何度も思い直さないと気が削がれてしまう。ザクザクいう足音を聞きながらベースキャンプの端についた頃には足が棒のようになっていた。残る力を振り絞りテントのあかりの方へ向かった。20キロ近くの道のりはとても長くて遠かった。
自分のテントに荷物を置き、ダイニングテントへ向かうと大きい部屋に変わってとても嬉しい。BCキャンプに戻れ、ひとまずの安心と疲れすぎた体、もう何もかもわからない状態になっていた。