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幸せな瞬間

先日、マダニに噛まれた友に会う前日に事件が起こった。
とても不安定な天気の日で土砂降りの渋谷の街を手首の治療を受けるために走っていた。
クリニックの受付でSuicaがない事に気がつき超音波治療をしながらソワソワしていた。
残金は少なく今日チャージするつもりだった。パスケースにはSuica以外に名刺、クライミングジムの会員証と回数券が入っていた。
お尻のポケットに入れて走ったから落ちたのだ。治療が終わり駅員さんにパスを落としたと伝え券売機で新しいものを購入した。その改札を一度離れ来た道を辿りながら探し歩いてみた。落としたのはこの道ではなく東急本店通りだろう。しかし激しい雨降りの中を探しに行く気が起こらない。ハチ公口まで戻ってそこから電車に乗った。

ずぶ濡れになった服を着替えてネットで調べてみるとSuicaを紛失した場合、利用停止して再発行出来るとある。       みどりの窓口へ赴くとまず改札口で届けられていないかを調べるように言われた。
渋谷駅で何も言われなかった事に不満を抱きながら窓口で検索してもらった。
待っている間にも「ホームに落ちていました!」と裸の千円札二枚が届けられた。
私のパスもこんなふうに届けられないだろうか?
しかし見つからない。
しょぼんとして信号を待っていた。青に変わり渡ろとしたが向きを変え脇にある派出所のドアを開けた。中にいた少し年配のお巡りさんが紙に氏名を書いてと言うので大きな文字で書いた。
パソコンを人差し指だけで操作しながら、
「うーん コンドウマキコさんではみあたらないですね」
・・・・え?
「いえ、コンドウではなく シンドウマキコ です。」
「うーん ちょっと待って、、、、」
「あー、届いているね、、、」
よかった!今から取りに行くから書類をここで作ってくださいと頼んだ。
確認の電話をして遺失物番号の書かれた紙を持って再び渋谷へ。
宇田川交番には3人のお巡りさんがいた。
身分証明書を見せると私のパスケースがもどってきた。
重く湿ったケースには全てが入っていた。
土砂降りの中をわざわざ届けてくれた方がいる。
その方に深い感謝の思いを心の中で抱いた。

クライミングジムの回数券にはまだ1万円くらい残っていた。
派出所を出る時にはすっかり雨も上がり水溜りには青空が映っていた。
駅のホームで電車を待ちながらここにいる誰よりも幸せな気持ちに満たされていた。
日本には親切な人が多くてとても安全な国である。
ロシアのエルブルース登山の時、順応中の休憩に立ち寄った山小屋のトイレは離れた外にありドアがなかった。訓練中の兵士にどうぞと言われても危険を感じてウラジミールに側で待っていてもらった。

エヴェレスト登山で滞在したラサの街では立ち寄ったカフェの売り場で店員さんと突然喧嘩し始めた人がいた。売り物のパンを投げつけながら外に出たと思ったら鉄パイプを持って店に戻り暴れ出したところに出くわしたこともある。

危険な目に遭わないに越した事はないが、いざとなったらまず逃げる。

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