クムジュン村「エヴェレスト~7大陸アジア編6」2023年

コーヒーを頼むとハイグレードホテルであってもインスタントタイプが出てくる。ホテルのマネージャーはペンバーの従兄弟だから、お願いしてドリップタイプを作り直してもらった。ドリップコーヒーが欲しいときには”フレッシュコーヒー”とお願いすれば良いそうだ。昨夜、食事の時に一人旅をしている日本男子に出会った。彼のお爺さまは2015年にエヴェレスト登山の為ベースキャンプに滞在していたそうだ。その時大地震に見舞われ、その影響で発生した雪崩に呑み込まれて帰らぬ人となったという。彼はベースキャンプへ行って祈りを捧げるためのトレッキングに来たという。普段はほとんど山へは行かないと言うけれど、とても元気な動き方から見て高所に強い人だと思った。ホテルの入り口で記念写真を撮り、タイミングが合えばカトマンズで会う約束を交わした。
彼らは山を下り私たちはクムジュンの村に向かった。クムジュンの村はシェルパ族の故郷である。近くに聳える美しいグンビラ山は神聖な山で、登ることは禁止されている。その袂では牛や馬がくわを引いて畑を耕し、人力でジャガイモを植えている光景に思わず足を止めてしまった。
今日の高所順応は標高4200mのヒラリーメモリアルビューポイントという丘へ上がる。上でしばらく休んでから村に戻り、知り合いのシェルパさんの宿でお昼を食べた。
青菜炒めに入ったヤク肉は噛みきれなくて、じゃがいもに添えられたヤクバターは今までに体験したことないほど臭くて吐き戻しそうになった。限られた食材を残すなんて本来してはならないことだけど、鼻を摘んでも水で流し込むこともできなかった。
ホテルへ戻る途中で素敵なカフェを見つけカプチーノを注文した。ジャズが流れゆったりとした雰囲気の奥でパンを焼いている。観光客相手だからか飲み物などの価格はかなり高い。くつろいで座っていたら急に外から背の高い痩せ型の男性が入って来た。真っ先に私たちのところに来て、日本人とわかると写真を見せてくれたりたくさん語りかけてきた。「イギリスの大学で教授をしていてネパールが大好きなんだ。日本人の生徒はとても熱心に学習しているよ。なんで君たちは英語が話せるのか?」などと向こうペースで喋りまくった後、店から出て行った。朝からなんといろんな出来事のある1日だったのだろうか・・・。
ホテルに戻ったら、今日は洗面台で先に髪を洗い、お湯の温度が変化する前に全身シャワーをすることに決めた。
夜の気温はマイナス11度、部屋には小さな電気ヒーターしかなくて全体を温めることはできない。あるだけの服を着込んで化粧品や水は布団の中に入れておこう。寒さにはまだ慣れないけど精神的には落ち着いて、腸の方が少し調子が良くない。川や雪解け水はいくら沸かしてもこの標高では沸点が低くなる。汲んできた水は十分には煮沸消毒出来ないことは想定内、ひどい下痢にさえならなければいい。