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休息と順応の準備「エヴェレスト~7大陸アジア編34」2023年

5月に入って雪が降る日が続いている。天気が悪いとWifiの繋がりも悪い。さらにベースキャンプで売られているWi-Fiカードは10MBで200ドルする。現金しか使えないのでシェルパさんたちへのチップが足りなくなってしまいそうだ。動画や大きな画像をダウンロードすればあっという間に使い切ってしまうのでアプリのバックアップ機能や自動でアイクラウド接続をしないように設定した。

最近は下痢気味になっている。キッチンへ行って生のニンニクを入れないようにお願いしたけれど、いろんな料理にふんだんに入っている。お願いしても使ってしまうので、にんにくと赤唐辛子の絵を書いて使わないでねと念を押してきた。
日本を出発して1ヶ月と10日、風邪を引いている状態はすでに3週間が経過した。1ヶ月を過ぎる山生活をしているとなんだかここに暮らしている気持ちにもなってきた。このところ毎日日本と電話をしているので気持ちがほぐれて、なるようにしかならないと割り切る思いが出てきた。

そして3日の深夜にキャンプ1に向けて出発することにな理、5日分の食べ物や必要なものの荷造りを始める。お昼には2019年以来、数年ぶりにロシア隊のアレックスに再会した。午後は冒険家のシカ男さんという方が挨拶に来てくれ、日本からの登頂登録者の6人全員と会うことができた。シカ男さんはクラウドファンディングで資金を集めて、ゴローというメーカーの改造した革靴を履き、無酸素での登頂を目指しているという。酸素を使ったとしても大変だと思うのにそれを使用しないで登ることには想像すらできない。チームのみんなも同じように感じたのか何も意見しなかった。隊長は計画の詳細を聞いて高所順応プランを変更するようにアドバイスをしていたがかなり厳しい挑戦だと言う。

そしてまた残念な知らせが舞い込み、キャンプ2で高所順応中のアメリカ人医師が心臓発作で亡くなったという。これから私たちも順応に向かう6500mのキャンプでの事故である。高所では気をつけていても避けられない事もあるし、気合いや頑張りだけではどうにもならないことが多いと再認識した。

今やることはシェルパさんたちの運んでもらう食糧の準備。破裂予防でフリーズドライの袋に針を刺して、ナフタリン臭のある寝袋を干した。
3日の朝は髪の毛を洗って荷物の最終確認。夕飯を食べたら夜中の1時まで仮眠して、軽く食べてから4日2時に出発する予定になった。この数日は休息日でゆっくりできるかと思っていたら荷造りにかなり時間を取られ気持ちが焦る毎日だった。出発前の仮眠をしていると夜中の12時にペンバーがやって来て今日は雪が積もるからキャンプ1へ行くのを延期すると言った。

なんだか嬉しくて朝までぐっすりと眠ることができた。
私はエヴェレストに登りたいのか?登りたくないのかと自分の中に不思議な葛藤がある。

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