足元をキメる
北海道東川町の道の駅ではお気に入りの卵を販売している。毎日ではなく配達のある曜日の13時からの限定数。だから少し早めの時間から待っていないと売り切れてしまう事が多い。
この日は到着が13時15分になってしまい売り切れてしまった。残念な面持ちで店内をうろうろとしていたら靴下に目が留まった。そう言えば旭岳のロープウェイ乗り場にある昭和な雰囲気の売店の中で見かけた気がする。
卵が買えなかったショックを紛らわすために、近くにあるというその店へ行く事にした。YAMAtuneという名前のお店で丁度トレーニング用の靴下がないのでスタッフに声をかけ、普段用と合わせて数足購入した。
ランニング用のタイプは欲しい場所にテーピング効果のような圧があり、すぐに虜になってしまった。
月末までにお店のインスタグラムをフォローし、自分のアカウントに写真投稿すると抽選でハネモノで作られたマスコットがもらえると言う。その時は辞退したが可愛いので後日お店に電話をかけ応募方法を確認した。エントリーするつもりだったが自分のアカウントに突然靴下が出てきたら変だと思い残念ながら見送ってしまった。
また、東川町へ行く時には立ち寄ってみたい。
靴と靴下は登山では最も重要な装備だと思っている。足に合っていると思っても実際に6時間以上歩くと靴擦れができたり、爪が黒くなったりとトラブルも多い。こうなるともう気になって山歩きどころではない。だからもちろん靴を買う時には一緒に靴下も合わせた方が良い。トレッキングや冬山の靴は何度も痛い思いをしながら自分に合う靴のメーカーと靴下を見つけることができた。しかし、高所用の靴は種類がないので靴に足を合わせることになった。試し履きをしては大きな水膨れになり、それが擦れて皮膚科へ行くと薬を処方されたこともある。親指の爪は今までに何度剥がれたことだろうか。
結局エヴェレストではインナーブーツを変えて、足をテーピングで保護して乗り切った。靴下は倉岡隊長をはじめ私たちのチームは電熱ソックスで挑んだ。バッテリーが少し重たくても凍傷にならないためには工夫が必要だった。
そんなこともあり、2023年の春は多くの凍傷者でカトマンズの病院が満床になっても私たちのチームの指は無事だった。
ロッククライミングではつま先立ちしやすいように足の指をグーするように曲げて、きつく感じる専用の靴を履く。多くの人はフィット感を求め裸足で履くこともあるが私は薄い靴下が必要。そうしないと靴革に指皮が当たって擦れてクライミングどころではなくなるから。サイズ選びでは小さめが良いと言われた事もある。私は限界まで攻める登りでないので丁度いいもしくはギリギリ大きいサイズが好きである。それでも左足がきついことが気になっていて、両方の靴の底を合わせてみると同じサイズの靴の左の方が5ミリほど小さかった。数年経って、なぜ今そのことに気がついたのかと笑ってしまった。足の大きさには左右差があったり、浮腫む時もある。つまりどんなシーンでも足元をキメるのはなかなか難しい。