バンテージ

私の体育の時間の一つに、ボクシングがある。自分用のグローブが届いてから半年が過ぎ、使い続けるうちに徐々に手に馴染んできたのを感じている。私が使っているのは、ベルクロで固定するタイプのグローブだ。ただ、自力で両手を正確に装着するのは容易ではない。片手はしっかり留められるものの、もう一方は緩いままになってしまう。誰かに留めてもらうか、あるいは口を使って固定しないと望み通りにはならない。そして手には「簡単バンテージ」と呼ばれる、手軽なインナーを着けてきた。だがある日、ふと「本格的なバンテージを一度きちんと巻いてみたい」と思うようになった。Geennieさんにその話をすると、使っていないバンテージを譲ってくれるという。巻き方を教えてもらい、何度か練習を重ねた結果、ようやく自分で巻けるようになった。
拳が直接当たる部分には、本来であれば布を何重にも重ねて保護するが、巻き加減によっては手が擦れて赤くなったり、痛みが出たりすることもあった。そこで、試合には使用できないがクッション性に優れたジェルパッドを使ってみたところ、その悩みは一挙に解消された。私は試合を目指しているわけではないため、このような選択肢があるのは非常にありがたい。
使用後のバンテージは、メッシュの袋に入れて洗濯する。すると絡まないけれども形が崩れてヨレヨレになるため、肩幅に広げてパンパンと振り、それを折り返してヘアピンで留めて乾かすようにしている。乾燥後は包帯のように巻いて保管するが、端まで美しく巻くにはコツが必要だった。試行錯誤の末、クッション素材の布に押し当てて摩擦を利用しながら巻くと、きれいに仕上がることが分かった。
ある日、クラスレッスンの後に、プロボクサーであるインストラクターが「バンテージ巻き競争をしよう!」と声をかけてくれた。自信に満ちたその呼びかけに久々だというHaruさんが見事勝利を収めた。その和やかな競争の様子に、教室には笑顔が広がり、「なんと平和で豊かな時間なのだろう」と感じた。
バンテージを日常的に使うようになり、巻くことにも、洗って整える作業にもだいぶ慣れてきた。ただ、次第に「もっとしっかりと手首を固定したい」という新たな課題が生まれてきた。いただいたバンテージは伸縮性があるため、強く巻くと血流が阻害され、手が痺れたり、皮膚の色が変わることがあった。再びGeennieさんに相談すると、今度は非伸縮性のバンテージを貸してくださった。これが非常に優秀で、しっかりと巻いても血流は確保され、手首も安定する。実際に打ってみると、体重を乗せた際の手首の感覚が格段に良くなった。
「今度、使っていない非伸縮のバンテージを持ってきます」とGeennieさんが言ってくれたので、忘れずに持ってきてくれることを心待ちにしている。
〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎
「がんとエヴェレスト」発売中
https://books.sekaibunka.com/book/b10132117.html
〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎ 〰︎