アイスクライミング @岩根山荘
一年ぶりに、長野県川上村にある岩根山荘を訪れた。今回はアイスクライミング講習会で、私が担当するのは講習生の安全管理。
井戸水を櫓(やぐら)に散水して作られた人工の氷壁は、ここでは「アイスツリー」と呼ばれている。まだ十分な厚さには達していなかったが、これから立派に育っていくのだろう。1日目は5人、2日目は7人が参加した。初めてお会いする方もいれば、一年ぶりに再会する方もいて、どこか懐かしい雰囲気のなかで講習会が始まった。

私は、皆さんが登るための下準備として櫓に登り、上からロープを垂らす。下に降りてロープの端にラビットノット(クライミングの結びの一つ)を作るのだが、一年ぶりの作業だったため、無意識に結ぶと普通の八の字結びになってしまった。すぐに気づいて結び直したものの、頭の中で思い描く” 完璧な結び目”にはならず、後でやり直したり。

連休中ということもあり、ほかにもいくつかのグループが練習していた。取り組んでいる内容は、指導者によってさまざまだ。あまり教わらず自由に登っているグループもあれば、やたらと厳しく叱咤するグループもある。
「なんで言われたことができないんだ!」
「なんで落ちるの?」
耳に入ってくるのは、スポーツ指導者としてふさわしいとは言えない言動だった。俯いてしまう人、涙を浮かべている人もいる。
近年、スポーツ界での行き過ぎた指導や暴言、暴力はハラスメントとして問題視されている。
指導者の役割は、相手の能力や、やる気を引き出すことであり、上から押さえつけたり、人前で恥をかかせるような指導は、もはや時代遅れだ。

私たちのグループは経験者ばかりで、久しぶりのアイスクライミングとはいえ、体力もあり、極端に乱れた登り方をする人はいなかった。
講習生の一人、Yasuさんは、登っている人に向かって「いいね!!」「落ちたっていいよ!」と、気持ちを前向きにさせる声かけを連発していた。
夜は、スライドを映しながら私が出版した書籍の話をし、皆さんに一冊ずつ購入していただいた。素敵なワインまで用意してくださり、感謝感激の楽しい出版祝いの飲み会となった。

翌日の2日目、膝を痛めてしまった方がいて、“蹴らない登り方”を私が見せることになった。
すると、
「麻紀さんが登るよ!」
「エヴェレストの登り方が見たい!」
と、メンバーが集まってくる。蹴らない登り方を見せるのはいいとしても、実は去年は2本しか登っていない。少し緊張しながら登り始めたが、意外にも体はよく動き、腕も手も張らず、気分よく登ることができた。ところが、下ろしてもらい『ちゃんと見せられた』と思っていたところ、先輩ガイドが一言。
「めちゃくちゃな登りだったね」
こんなに気分よく登ったのに、なんということだ。それを聞いていた方も、「そんなこと言われたら、登れなくなるよね」と言う。しかし、なぜか私は「いや、そんなことないですよ」と答えていた。そういえば去年は「登り方が宇宙人的だ」と言われたこともある。
なるほど、自由演技ではなく、規定演技を求められていたのか……。
よし、次はその期待に応えて登ってみせよう。そう思うと、不思議と意欲が湧いてきた。

結果的に、私にやる気を起こさせた先輩ガイドは、指導者としてとても優秀なのだと思う。

許可を得て撮影
余談ではあるが、岩根山荘のアメニティが素敵になっていた。冬季限定らしいが、1日の疲れを良い香りで癒すことができる。
この冬、岩根山荘でも販売中
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