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サミットデイ「7大陸北米編8」

ハイキャンプの標高は5200M ここまで来れたことがとても嬉しい。しかし肺水腫の経験がよぎりあまり楽観視することも出来ない。チーム全体はまとまっているが、女子テントはどうも落ち着かなかった。自分の身をどこに置いたら良いか?と悩み、精神統一に猫の写真と動画を見て、頑張るぞ!登るんだ!と思いを強める。音楽をこっそり聞いて雑念を払う。他チームが埋めていった燃料や食料を掘り起こし、スナックなどの行動食を確保。

アメリカ製のフリーズドライフードはビタミンなどの栄養が添加されている完全食だが種類によってひどく不味い。しかし、生きるため、エネルギーを蓄えようと無心で食べた。ここは南極ほどではないが一日中明るい、慣れてくるとアイマスクがなくても休めるようになれた。とにかく水分を、寝る時は朝起きるまでに1リッターを目標にした。大腿部の両方が攣り激痛が走る夜には、梅干しをほうばり耐え忍んだ。いつアタックするのか?先に登ってきた人に聞いたり、天気を探す。休息日が続きチームはソワソワ、イライラしてきた。そして出発は4日となった。

同日に他のチームあわせて30人以上がトライすることになった。いつものように私たちは出発が遅く、最後に歩き出すことになった。まずはデナリパス、狭い雪の足場は両足を並べておくことができない。移動は滑落しても止まるようにフィクスロープにカラビナを掛け替えながら進む。私は隊長とのロープを短くしてこの作業を省いて歩いていた。立ったりしゃがんだりしないだけでかなり体が楽になった。前が詰まり、渋滞していたのでゆっくりしか進めず息も苦しくならない。このペースだったらつらくない。

天気が良いから慌てる必要もない。早く歩きたいと焦っている人もいるけど、私はこのままの速度で歩くことを強く願った。フットボールフィールドと呼ばれる平らで広い場所まで来ると風もなく青空が広がっていた。最後の尾根に上がり一歩一歩ゆっくりと踏みしめる。その先に山頂が繋がっていて、このまま行けば必ず着ける、呼吸と動きに意識を集中してさらに動き続けた。

山頂は広かった。360度の世界が果てし無く、頂上のマークには金属のプレート。

2017年7月4日北米大陸最高峰デナリ6194m登頂!写真を撮ったり1時間ほど過ごしてから同じ道を引き返し、キャンプに戻った。

この日の行動時間は14時間30分。とても素敵な日となりました。

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