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イラつく日々

なんとか北米大陸最高峰デナリに登頂できて本当に嬉しかった。私の体調ではあらゆる面から見て条件的に厳しい挑戦だった。山頂に立てたのは倉岡さん、星野さん、アツが私をサポートしてくれたから。これは一生忘れない感謝である。下山が遅くなり、タルキートナの町で22日ぶりにシャワーを浴びて、シャンプーしてもなかなか泡立たないことに喜びを感じた。夕方に登頂の打ち上げをして同日の夜、空港で皆と解散しそれぞれ日本へ帰国した。

帰国後に受けた血液検査では疲労が出たのか悪い数値が見つかり、数日点滴を行ないながら体調を取り戻していた。
普通の生活に戻ると山では忘れていたイラつきが頻発してきた。ホルモン療法で私に起こっている副作用は大きく2つ。体温調節がしにくい事とイライラすることだ。それらが原因となり睡眠の質もかなり悪い。
駅構内や、改札機のところで誰かが後ろから私の足を誤って蹴ることがあるけれど、ほとんどの人はごめんなさいとは言わない。その時に振り返るとその人は俯いたり外方を向いたりすることにお腹が熱くなり、手が出そうになってしまう。

空港で飛行遅延で金券をもらった時のこと、コーヒーを頼み金額に満たないけれどお釣りは出ないというので、少し間を置いてお水もお願いしますと言ったら、もう遅いです!とぶっきらぼうな店員さんの対応にコーヒーをかけたくなった。息を吐き、そうしない為ににらめるだけ睨んで気を納めたこともある。

とある蕎麦屋へ行った時のこと、会計時に少し遅れて領収証を下さいと頼むと、舌打ちされて今度から先に言って下さい!と言われた。この時は頭に血が上りカウンターを思い切り叩きたくなった。握りこぶしをぐっと握ってそれを引っ込めた。

国内線の飛行機では特別なことがなくても毎回イラついてしまう。なるべくCAさんとは目を合わせないようにして、寝たふりをすることもある。首から下げる Donot disturb 札があったらいいなと思う。

親しい友人とのチャットのやりとりにも呼吸が苦しくなることもある。用件だけ結論から先に言ってくれと頼みたい。
そんなイラつきに漢方薬抑肝散を飲んでいるけれど、効いているのか分からない。やめたら本当に手を出してしまう恐れから飲み続けている。

山へ行けば人が多いと”こんにちは”の攻撃にあう。余裕があれば息苦しくない“ボンジュール”もしくは“ちわー” でやり過ごしているが、録音済みの端末に”息上がった”と”爽やか”のバージョンでこんにちはをボタンで発せたらと思う。

日々のイラつき方が尋常ではない。体の中心から何かが沸き起こる様な熱さがある。良い対処法が見つからないので人や事柄から少し距離を置くことにしている。今では治療を始めて3年が過ぎたけれど、ホルモンが抑えられている状態には順応できていない。少しは楽になった気もするが体調の悪い状態に慣れたというところである。
最近、癌に相当ムカついている、やはりイラつきは止まらない。

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