ベースキャンプへ「エヴェレスト 〜7大陸アジア編8」2019年
朝食を済ませて身の回りの荷物と共に車に乗った。
2泊3日滞在したシガールを出てベースキャンプへ向かう。
国立公園入口のチェックポイントで書類を提出してからパンラ(峠)5150mを抜ける。道路は舗装されたつづら折りの道を上りながら標高もどんどん上がっていった。
途中の展望場所では雲が多くてチョモランマを拝めなかったが、向こうにあることを想像しながら今後の旅の安全を願った。タシゾンやもう一つの村を抜ける時には、埃煙の中に村人をたまに見かけるくらいで人影は少なくコンクリート壁の家が道路のすぐ脇に並んでいた。
村を過ぎるともう人の姿はなく、ヤクが道を塞いでいた。
ヤクはこれからの山登りでお世話になる。それぞれのヤクにはベルと房のような色鮮やかな耳か飾りが揺れていた。
車で煽ることなく道が開くまで彼らの後ろをゆっくりと走る。
寺院まで来ると観光の人がいて、それを過ぎて曲がりくねった緩やかに登る道が終わった先にベースキャンプが見えてきた。
車で入るからなのか呆気なく着いた。
荷物を下ろすと、今まで数日もの間一緒に過し旅をしてきたクサンとティンリーとお別れ。
ティンリーとは言葉の問題で会話にならなかったけれど、私のブスくれた写真をよく撮ってくれた。クサンとは子供の頃からの様々な話を聞き、他人に話してはならない悲しい過去の事件など語ってくれた。
これだけ大切な時間を共有してきたけれどきっと会うことはもうないだろう。そう思うと一期一会とはこういうことなのかと寂しい気持ちになった。
私たちの登山はこれからが本番になる。気持ちを切り替えて挑まなくてはいけない。
二人の車が去るのを見ながらベースキャンプにいるシェルパさん達と挨拶を交わし、自分のテントに荷物を運んでもらった。なんと広い個人用のテントなんだろう!トイレの場所やキッチンにダイニングを見て感動してコーヒータイム。
缶に入った粉ミルクを開けようとアルミの輪を引き上げた瞬間に粉が体に飛び出した!気圧が低いから缶類を開けるには注意が必要。
夕食までは時間がある、部屋をアレンジしたり荷物を整理したり、初日はあまり動かないようにしていた。歩いて移動するだけでも息が弾む、これからしばらくはゆっくり行動してまずベースキャンプの標高(5150m)に体を慣らすことに努めたい。
2019年4月20日ベースキャンプ入り。