A.B.C. 生活2「エヴェレスト ~7大陸アジア編16」2019年

5月1日、よく眠れた。ここの標高でしっかり眠るのは体調がどうなるか分からなくて正直なところ怖い。体の痺れは昨日より無くなり体が少しは順応しているのだと思えた。今日は風がとても強い。そんな中ミンマたちは上のキャンプ(C1)へ荷揚げに出かけて行った。辺りを歩くだけでも息苦しいのに彼らは重い荷物を運び上げてくれ同じ人間とは思えない逞しさだ。
今日は休息日、だから髪の毛を洗うことにした。ここには大きな桶がないので洗面器に熱めのお湯をもらい、雪を混ぜながら冷ましながら水量も増やして洗った。しゃがみ洗いは体勢が良くないけれど8リッターぐらいで洗えてとてもスッキリした。
体調が改善すると心が落ち着き、ささやかな希望が見えると気分が上向く。
今まで以上に呼吸を意識して、水分をたっぷり摂って、ラジオ体操もどきで体を動かしていた。
A.B.C.での順応が登頂の鍵になるだろうから、食べ物もお腹に優しい物を選んで体調管理に集中していた。
食べて寝るだけの生活なのに余裕がなくて、人のことは気にしていられない。チームと一緒にいて不快で辛いのは音である。咳払いの“ン、ン”、鼻鳴らしの”ズンゴォ”に咀嚼音の“クッチャ” と啜りの“ズール”。気になりだすとより気になり、次第にどうでも良くなって来た。食べる時の音はどうしても気になって仕方がないが、マナー教室に来ているわけではない、登りに来ているのだと自分に聞かせた。
限定された生活環境に、家族よりも長い時間を共にしていれば誰も気取っていることなんてできないし、それを気にしてストレスを感じる方がここでは敗者となる。
それにしても外の風が強い。隊長に個人テント周りの紐の張り調整と岩を積んでもらい飛ばされないようにした。ダイニングテントは大きいので風の影響も強く受け、全室にある手洗いタンクが風圧で床に倒れた。
このままだと風に何もかもが飛ばされそうだ。キャンプ生活は快適にしてもらっているが、こういうときに自分が大自然に身を置いていることを思い知らされる。
今日の嬉しいことは充電器が直ったことだ。