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A.B.C. 生活2「エヴェレスト ~7大陸アジア編15」2019年

5月1日、よく眠れた。ここの標高で眠るのは体調がどうなるか分からないから正直なところ怖い。体の痺れが昨日よりも無くなり体が少しは順応しているのだと思えた。今日は風がとても強い。そんな中ミンマたちは上のキャンプ(C1)へ荷揚げに出かけて行った。辺りを歩くだけでも息苦しいのに彼らは重い荷物を運び上げてくれるのだから本当にありがたい。

今日は休息日、だから髪の毛を洗うことにした。ここには大きな桶がないから、洗面器に熱めのお湯をもらい、雪を混ぜて冷ましながら、水量も増やして洗った。しゃがみ洗いは体勢が良くないけれど8リットルぐらいで洗えてとてもスッキリした。

体調が上向くと気持ちが落ち着き、ささやかな希望が見えると気持ちもにも上向く。
今まで以上にしっかり呼吸して、水分をたっぷり摂って、ラジオ体操もどきに体を動かしていた。
A.B.C.での順応が登頂の鍵になるだろうから、食べ物もお腹に優しい物を選んで体調管理に集中していた。

ただ食べて寝ての生活なのに余裕がなくて人のことは気にしていられない。チームで一緒にいて不快で辛いのは音、咳払いの“ン、ン”、鼻鳴らしの”ズンゴォ”に咀嚼の“クッチャ” と啜りの“ズール”。気になるともっと気になる事だけどそれらがだんだんどうでも良くなって来た。ただ、食べる時の音は気になって仕方がないが、マナー教室に来ているわけではない、登りに来ているのだと自分に聞かせた。
アウトドアの限定された生活環境に家族よりも長い時間を共にしていれば誰も気取っていることなんてできないし、それを気にしてストレスを感じる方がここでは敗者となる。

それにしても外の風が強い。倉岡隊長に個人テント周りの紐を張り調整してもらい、岩を積んでもらったりと飛ばされないようにした。ダイニングテントは大きいので風の影響も強く受け、全室にある手洗いタンクが風圧で床にすっとんだ。
止まない風に何もかもが飛ばされそうである、キャンプ生活は快適にしてもらっているがこういうときには自分が今大自然に身を置いているのだと思い知らされる。

今日の嬉しいことは充電器が直ったことだ。

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