オホス デルサラード セカンドセブンサミッツ「7大陸南米編5」2018年

アコンカグアへ登頂してC1からベースキャンプに戻った。その日は雲が多くてヘリが来ないというので1泊して翌日の2月28日にヘリで登山口へ飛んだ。ヘリポートにはカリーがお迎えに来てくれて、途中のホテルで朝食を食べてメンドーサへ向かう。目が少し痛い、白目部分は赤くなりやはり雪目になったようだ。ちょっとした刺激でも涙がほろほろと出る。重症ではないから目薬を点してやり過ごすことにする。

メンドーサのホテルでシャワーを存分に浴びてから大きなベッドに斜めに寝た。町のランドリーに洗濯を出したらハマムのサウナで半日過ごし、カリーの家で食事をしたりと3日ゆっくりと過ごす。そして3月3日チリへ一緒にいくガイドのウリ、運転兼シェフのダルドと共に次の山オッホスデルサラード目指して車の移動が始まった。

まず、Villa unionに一泊し次の日はフィアンブラへ移動した。どのホテルも素敵、でもその周りには何もない町だった。移動中はワイナリーに寄ったり町のレストランで食事をしたり、見知らぬ土地が楽しい。

5日は車で国境を抜けてベースキャンプ入りする予定だったが税関が閉まっているという情報があり、急遽避難小屋に泊まることになった。
ダルドの料理はなかなか上手い。

そして6日、税関手続きを済ませて国境を抜け、チリのラグーナベルデ（ベースキャンプ）に着いた。ここは私が世界で一番美しいBCだと思っている。標高は4200m体が順応できているので全く苦しくない。雪目も治った。

翌日は車でアカタマキャンプ（5200m）を通り越して、車で行けるところ5700m地点の車中でマテ茶を飲み、読書をしたりして1時間ぐらい過ごした。ここまでくるとSPO2は80に下がる。アカタマキャンプ場でも30分ぐらい停まってからベースキャンプへ戻った。ベースキャンプ情報では最近は雪の状態が悪くて誰もオッホスに登れていないという。その話を元に倉岡隊長は作戦を変更して、気温の低い深夜から歩き始めることにした。8日はブランチをしてからアカタマキャンプへ。人はいないので避難小屋に泊まって、早めの夕食を食べてから21時まで眠り、23時に車で出発。暗闇の中、車で行けるところまで上がって私たち3人は降り、ダルドはキャンプへ戻った。暗い雪の道、上空の星がとても綺麗だ。テホス小屋の前でクランポンを着けて山頂を目指してジグザグに登りはじめた。傾斜がきつくなると雪質が悪くなり、ザラメ状の雪に足を置くと滑ってしまい非常に歩きにくい。崩れやすい雪質では何度も足を取られ、途中でウリから倉岡さんが先頭を行くことになった。隊長の方がルートどりに長けていて歩きやすくなった。それでも斜面をひたすら登りつづけると気持ちが疲れてくる。何度もカツを入れ、とにかく頑張るんだと必死になっていたら、コルを超えクレーターのところに出た。ようやく山頂が見えて近いようでも遠く感じる。クレーターの左側を大きく回り込んで歩き登り標高差あと50メートルのところの雪の状態がさらに悪い。傾斜は40度ぐらいになり足元の雪が崩れたり、脚がズボッっと埋まりなかなか進めない。

そんな風に動いているから呼吸も苦しい。突然ウリが座り込んでしまったのでそこからは二人で行くことにした。足場を作りながら慎重に登っていく、最後のところには大きな岩が出てきた、上からロープが下がっているが、前腕が張ってしまい掴む力が出ない。ガンバ！って声に出しても体が言うことを聞かない。身を奮い立たせ、残った気合いで山頂に上がった。山頂は風が強く旗は広げられなかった。そして30分後くらいにウリが登ってきた！降りろと言われていたのに・・・クランポンが壊れてしまい片足クランポンでやって来るなんてすごい根性だ。2018年3月9日3人で山頂を踏んだ。

その後はアカタマを目指して降り、足がふらふらになっているところにダルドが車でお迎えに来てくれた。登頂できたなら、なるべく早く低い場所へ行きたい。

10日にBCからバイアイングレッサの町へ向かった。数日町で休み、夜は打ち上げ。みんな嬉しくて弾けていた。アコンカグアに続きオホスデルサラードにも登頂できたことの喜びがようやく沸き起こった。

嬉しい気持ちが収まらなくて帰国した時に税関の人に山に登れた！と話すと表情変えずにそうですかと言ってくれた。ワイン6本の税金もきちんと払いました。
2018年3月9日南米大陸第二高峰オホスデルサラード登頂