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ベースキャンプへ「7大陸南米編3」2016年

コンフルエンシアのキャンプ1で2泊してその翌朝にベースキャンプへ向かうことになった。ダッフルバックなどの大きな荷物はムーラ(ラバ)に乗せ、私たちは移動中に必要な防寒着、食料、飲み物などをそれぞれのバックパックに背負って歩く。

出発は朝8時頃。歩き始めは陰っていて涼しかったが太陽が山かげから姿を現し出すと私たちをジリジリと照りつけてきた。ムーラに道を譲りながらロングビーチと言われる場所に出た。ロングビーチはその名の通り行く先が果てし無く、進んでも進んでも景色が止まっていた。平坦な道が延々と続いていると気持ちがなかなか上向いてこない。


所々に渡渉があったり、崩れ掛かったガレ場を超えたりと危険な箇所には緊張する場面もあった。下山してきた人たちが前からやって来ては何度もすれ違った。ほとんどの人は元気がなくて疲れているように見えたのでむやみに挨拶をするのは控えることにした。たまに吹くアンデスの風は乾燥していて埃っぽい。程よい風が嬉しくてそれが止むと強い太陽光がじりじりとしてくる。日陰は涼しく日向は暑い。


ゆっくりと歩いていると前から後ろから荷物を載せたムーラが駆け抜けて行く。私たちは歩きながら呼吸を意識して高所に体を慣らしていく。休憩中は飲んだり食べたりしてメンバーと他愛のない話を交わす。おしゃべりが苦手な私にはこのほどほどの会話がちょうどいい。緩やかに登る道がしばらく続いていたがキャンプ場直下に来ると急な登り道が上に向かっていた。

こういうところは牛歩の歩みで息が上がらないように登る。時間をかけて登り切ると再び景色が開け、その先にはカラフルな色が見えてきた。目的地にやってくると『あー着いた』とスーッと緊張が解けてすこし弾んだ気持ちになった。ベースキャンプまでの道のりは時間をかけて9時間歩いた。レンジャーステーションで許可証を見せ手続きを済ませると食事用のダイニングテントに案内された。入ってまずすることは安静。テントを張ってもらっている間はお茶を飲みながらオキシーメーターで血中酸素濃度を測り、ゆっくり呼吸を心がける。ベースキャンプのプラザデムーラスは標高4300m、頭がクラクラする。

テントの外へ出ると世界各国から集まって来た人がたくさんいる。荷物整理や夕食を済ませてから隣のドームテントに遊びに行って、そのあとは早めに自分のテントへ戻った。空には目が回るほど無数の星が瞬き、手を伸ばしたら届きそうだった。

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