ベースキャンプ生活 後半3「エヴェレスト ~7大陸アジア編22」2019年
5月8日 A.B.C.から戻り4日目になった。山頂を見ると風が強く吹いている。
だいぶ体は休まった。
ただ気力の方はイマイチでやる気が湧いて来る感じではない。BCで吐いている人がいる。知り合いのエイドリアンも吐いてた。なぜみんな吐いているの??原因はわからないが彼らは強靭な人達で高所の影響でないことは確かだ。トイレも最近下っている人が多いのか汚れが目立つ、体調を崩している人が多いのだろう。こういった場所での感染症のコントロールは難しい。空気は乾燥していて水は川から引いている。手洗い場所はあるけど皆さんあまり使っていないみたい。
私たちの食事は大皿に盛られて運ばれてくるが、他のメンバーが真っ先に食事をよそいに行く。それはいいけれど鍋蓋を開け覗き込みながらその上で喋ったり、咳をしたりすることが気になってならない。手を消毒しないで共通のレードルに触ることも気になる。今でいう飛沫が入りまくる状態だった。次回は今年の世界的なコロナウィルスの蔓延でそういうのはダメなんだって周知されている。けれどこの時は一般的には理解されにくかった。私一人が必死になったところでただのうるさい潔癖症だと思われるだけ。衛生管理の基本はどんな時も変わらないけれどその解決策を悩んだ挙句、誰よりも早くよそいに行くことしか思いつかなかった。帰国してからも登頂するために、体調を崩さないためにとこの食事のあり方を考え続けていた。次は自分の分はキッチンに頼んであらかじめ取り分けてもらおうとすら考えていた。
そんなこんなで、今日も何もしない日だったけれど悩みが尽きなかった。
登頂のための準備は全て終わった。あとは天気と様々なコンディション次第。
エベレストに登るのは頑張りではなくてリラックスして、体調を管理すること。
登頂した知り合いに連絡をとると、2回目のA.B.C.は楽になるから大丈夫という。本当か?それは登った彼女だからなのかもしれないとその言葉が信じられなかった。あんなに辛くて遠いのにそんなことがあるのだろうか?それでも騙されたと思って信じてと言う、だから騙される事にしよう。