ディボチェの村へ「エヴェレスト~7大陸アジア編7」2023年
朝のSPO2は91%と下がり心拍数は安静にしていても75bpmと高くなっている体調だった。そんな時に「今日はたくさん歩きまーす」と笑顔でペンバーが言う。朝の8時過ぎにホテルを出発するとまずプンキテンガへ向かった。今朝は緩やかな下り道が凍っていて足置きがとても怖い。たまに差し出してくれるペンバーの手を握り転ばずにやり過ごすことができた。移動中に何度もヤクやゾッキョや馬の列に出会い、道を譲りながらもぶつかって来ないように道脇の高いところに避けていた。一頭一頭の異なる毛色や柄を眺めて待つのは楽しい休憩時間。ヤクの瞳は優しく可愛くて思わず笑顔になってしまう。私たち個人の荷物はポーターさんが運んでくれている。30キロ以上の荷物を担ぎ、酸素の薄い山道を擦り切れた靴でタカタカと早足に進んではどっかんと道端に座って休憩と運搬を重ねていた。
ここの標高ではまだ私の体には何も起こっていないけど常に頭の中ではゆっくり歩いてゆっくり呼吸、順応しますようにと唱えている。
吊り橋をいくつか渡り降りきったところがプンキテンガの村だった。川沿いのロッジでお昼ご飯を注文。有名なカルロスソリア隊も同じところで休憩していていろんな人と代わる代わる記念撮影をしていた。
このロッジから先は登り道が続いた。ゆっくり歩いていたらカルロスさんにはあっという間に追い越された。軽快な歩き姿を後ろから見届けながら私は自分の歩きに集中することにした。
少し息を弾ませて登っていくとディンボチェの村があり開けた場所には立派なお寺とロッジが見えた。ロッジに併設されたカフェがあり、お腹空いていないがカプチーノとチョコレートドーナッツ(で1200円!!)を注文した。トイレも新しくて綺麗だった。ここまで来たら目的地は近いのでゆっくり休んでディボチェの村へ向かった。蕾が膨らみ始めたシャクナゲの道、足元はさっき食べたチョコが溶けたようにヌルヌルとしていたが開花を想像しながら一人笑みが溢れていた。
新しい建物の部屋はホテルエヴェレストよりもシャワーの温度が安定してお湯がたっぷり出る。Wifi は不安定だけど食事が美味しく、女将は快活で気の回る方だから居心地も良い。
夕食時に隊長とペンバーと今後の予定を話し合うことになった。当初の事前順応計画ではアイランドピークへ登る予定だったけどピークへ行くことはやめた。もともとそこへ行ったら疲れてしまうのではないかと頭に引っかかっていたから即答で賛成した。
他のメンバーと合流する前に高所に体を慣らすことと体調管理が一番大事なこと。エヴェレストに登れるなら他は登らなくても良いと思う。今夜は昨日より標高が低い(3600m)場所でしっかりと眠りたい。