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お正月の過ごし方

元日に、私の兄弟家族が集まった。おせち料理を囲み、よく食べ、そして大いに飲む正月となった。
その席には、ワインに詳しい人物がいる。貯蔵してあった赤ワインを出すと「これは飲むより料理に使った方がいい」という。個人的には、飲んでも十分おいしいと思ったのだが、専門家の一言は強く、結果としてそのワインは料理行きとなった。赤ワインを使った私のお気に入りの料理といえば、ブッフ・ブルギニョン(牛スネ肉の赤ワイン煮込み)。これはピーカンマダムの得意料理でもある。レシピを調べると、簡単な方法からレストラン仕様までと幅広い。吟味した結果、腑に落ちたのは、一番時間のかかる方法だった。

まず赤ワイン1本を鍋に入れ、みりん(もしくははちみつ)を加えて煮切る。

その間に牛スネ肉に塩を振り、“メイラード反応”つまり、しっかりと焼き色が付くまで焼く。レシピには「国産で筋の多い大きな塊肉がよい」とあったが、正月明けのスーパーにそんな都合の良い肉は存在しなかった。

肉の次は野菜だ。これも同様にしっかり焼き色を付ける。ミルポアと呼ばれ、煮込みのだしとなり、後で取り出す。野菜は水分が多く、肉よりも焼き色が付きにくいらしい。この説明を読んで、山とがんに敏感な私は、なぜか「日焼け」のことを思い出した。山では標高が高いだけでなく、空気も肌も乾燥しているため、日焼けしやすいのではないか⁇と納得した。一方で、「焦げた食品には発がん性がある」という話も頭をよぎり、焼き色と美食の間で一瞬なんとも言えない迷いが生じた。

すべての材料をしっかり焼いたら、あとは煮切った赤ワインの鍋に投入し、セロリの葉とブーケガルニを加えて煮込むだけだ。レシピサイトでは圧力鍋を使うと書いてあったが、持っていないので4時間ほど煮込むことになる。ちょうど先週、今年の始まりの挨拶文を考えるのに時間を取られていたので、鍋を見守るには絶好のタイミングだった。

作業自体は難しくない。ほぼ鍋任せだ。しかし、とにかく時間がかかる。煮込み終えたら野菜を取り出し、一晩寝かせて肉にソースをなじませる。

そして最大の手間はが仕上げのルーである。バターと小麦粉をブラウンになるまで、ひたすら炒め続けること数十分。腕も心も試される時間だった。この工程を経て、レストランでこの料理が高価な理由をようやく理解した。そして、ピーカンマダムがこれを作って持ってきてくれたことに、これまで以上の感謝を覚えた。

私は日頃ちゃんとした料理を作らないし、向いていないという自覚もある。それなのに、今通っているゴルフのレッスンプロは、なぜか料理に例えてスイングを説明する。このままだと、料理もゴルフも上達しないのではないかと、少しだけ落胆した。

今回の煮込み料理の全工程を合計すると、おそらく8時間はかかった。食べる時間はというと15分もかからなかった。それでも、とてもおいしくできたので、その労は十分に報われた。

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