霧のかかる峰
クライミングツアー最終日に見学した鍾乳洞にはワイン貯蔵庫があった。
ワインと登山からは楽しくて懐かしい思い出がたくさん蘇ってくる。初めての海外登山はフランスのシャモニーの街だった。スーパーへ行くとワインの棚が充実していて、観光地にも関わらず安くて美味しいワインが豊富にあった。
アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロへ行った時にはタンザニアの街でピノタージュのワインに出会った。濃厚で芳醇な味が忘れられず帰国してからもアフリカのワインを飲んでいた。
南米大陸最高峰アコンカグアには2回敗退したことがあり、高所順応方法をガラリと変えた。数日間車で移動しながらいくつもの町を訪れ標高に体を慣らして、その途中にあるワイナリーでお昼を食べたり、宿泊したりしていた。
北アルゼンチンのカチからモリノスの町へ向かう途中には世界で一番標高の高いところにあるワイナリーがある。
そこでは標高の違う土地で育てた葡萄のワインの飲み比べができた。
ワイナリーでのお昼ご飯は地元食材を活かしたオーガニック料理、それが一層ワインの風味を引き立ててくれた。
移動する町から町の途中には広大な景色と野生動物との出会いがあり、
素敵なワイナリーやホテルはそんな景色の中にポツンと立っていた。
そんな思い出に浸りながら、今回行った鍾乳洞のワインがとても気になってしまった。
空港には売っていなかったけれどふるさと納税サイトを見てみたら、返礼品として見つけた。
ワインの名は”宇霊羅”。
岩泉町のシンボルは宇霊羅山。アイヌ語で「霧のかかる峰」の意がありその名を付けたそうだ。
何故アイヌ語での山の名があるのかまでは知り得ないが、峰とワインには何かの縁を感じる。
だから自然環境の保全のために岩泉町に納税いたしました。