キャンプ2へ 「エヴェレスト ~7大陸アジア編36」2019年
4月22日 昨夜は一度ピーボトルの失敗をした。特注のダウンワンピースのチャックが下まで十分になくてデバイスがうまく使えない。これは大問題である。さらにシュラフの下に敷くエアーマットを膨らませたり畳んだりが非常に大変だと言うこともわかった。標高が上がるにつれてテント内のちょっとした生活動作が一大作業となってしまう。
朝食を済ませてからC2へ向けて出発した。なだらかに登ってゆく雪面の先にキャンプ地がある。途中の休憩でのトイレはもう隠れるところはない。「トイレしまーす!」と声を掛け視線を外してもらう。雪面にはしっかりした踏み跡がありゆっくり歩いていると昨日よりもはるかに楽に動けた。
休憩を挟みながら酸素流量を調節して順調に進んでいた。このまま辿り着けるかと思っていたのに、雪がなくなり岩綾地帯に踏み入る頃に風がとても強くなってきた。
体が風に押されながらもフィックスロープにしっかりと身体を預け岩を踏み締めていた。前をゆっくり歩く人を抜かし寒いので止まらないように動き続けた。C2に着いたのは14時30分。ここまで5時間かかった。
C2は岩場の斜面にありテントは上の方へと伸びて張られていた。私のテントは下部の方でその脇は崖で全体が斜めになっていた。とにかく早く中に入りたい。しかし風が強いのと足場が悪くて動きにくい。本来はテントに入る前にアイゼンを脱ぐが、それができなくて中に入ってから脱いだ。シェルパさん達がどこにいるのかもわからず、しばらくは風の唸りに取り囲まれながら呆然となり、ザックにも持たれ込んだ。少しずつ荷物を広げたり、シュラフを出して居場所づくりをした。落ち着いてきたら梅干しのお吸い物を飲み、缶詰を温めたり夕食にはカレーを食べた。
マスクを外して食べていると頭がクラクラするので口に物を運んだらマスクをつけるようにして呼吸を整えながらの食事だった。19時ごろにスッと辺りが静かになり風が収まった。
このまま頂上へ行けたらいいな、
余計なことは考えないで体調も天気も整うようにと願う。
アンドレアスチームは明日、私たちは明後日の登頂予定。
友人から頂いたお守りを見つめながら
“自分に集中” “行ける時に山頂に行ける”と念じて横になった。