久慈の岩場

岩手県でクライミングするツアーに参加した。皆さんと合流する久慈のホテルへ向かうには、新幹線と在来線に乗る場合と、青森空港からレンタカー移動の交通手段があった。所要時間はあまり変わらないから空路で行くことにした。出発日が近づく頃に参加する友人と一緒に向かうことになった。
移動日は全国的に雨。青森空港から久慈へ移動する道はワイパーを最大にしても前が見えないほどの降りっぷりだった。視界がないので観光せずにホテルへ向かうことにした。移動には2時間以上かかるけれども、エヴェレストに登頂した友とは話題に尽きずあっという間に着いた。
ホテル近くのコーヒーショップでひと休みしていると、「ねぇ明日からずーっと雨! 私、明日帰る!」と言う。それを聞いて会話がふっと止まり、自分はどうしようかと考えた。青森の何処かに泊まってゆっくりもいいかと思い耽っていると。ごめん、来週の天気見てた!と言う。明日からいる間は天気が良いそうだ。
偶然立ち寄った店のコーヒはとても美味しいくて、旅の明るい兆しに心が弾んだ。勢いよく降っていた雨も18時には止み、外は明るくなってきた。明日までに岩場の岩が乾いていて欲しいと願う。クライミング初日は海沿いにある岩場へ行って砕ける波音を聞きながら優しいルートでウォーミングアップ。
肌色の花崗岩のフェースルートは見上げてもホールドがわからない。登りながら考えてホールドを拾っていく楽しいルートで長めのルートなど5本ほど登って初日は終わった。
クライミング3日目にも同じエリアに再度来て初日とは違うルートに挑んだ。少し被ったルートや遠いホールドに思い切って手を出してはテンションしたりと面白いルートが揃っていた。クライミング2日目は車で1時間ほど移動してひょうたんケイブエリアへ向かった。
道路から川沿いを少し歩き、川を渡って少し進むと岩場に出た。奥にはドームになっているケーブ、その手前には初心者の岩場がありそこで1日を過ごした。久々の石灰岩、アンダーや横引きのホールドが多くて手首を痛めている私にはきつい。登った全てのルートは公表されているグレードよりも難しく感じた。ここにはマダニはいなさそうだ、その代わり漆みたいな植物がある。
調べたらそれではなかったけれど漆以外にも被れる植物があるそうだ。写真を見てもそれを見分けるのは難しい。虫にせよ植物にせよ山では肌を露出しないに限る。梅雨入り前の岩場では若葉の萌黄色がとても綺麗で、それをたくさん目に焼き付け次回来れる日を楽しみにしよう。
そして手首が良くなるまでは無理はしないと決めた。